メタルハート
カタン村
――目を閉じた真っ暗闇の中、りゅあは何か光るものを見た。
ぽぅっと、浮かび上がる朧気な物体は、青く細く長い物。
更に意識を集中させてみると、それはサファイアの付いたリボンだと、ハッキリ解った!
だが次の瞬間、そのリボンはゆらゆらと静かに形状を代えていく。
小さな人型に、だ。
「君みたいな強い氣、久しぶりに見たよ」
耳元でエコーがかかった声が聞こえる。
これは夢だろうか?
「夢?ちょっと待ってよ…
折角僕が、君に協力してやってもいいって言ってるんだぜ?」
耳元で囁かれる声。
だんだん意識が遠退いていきそうな…――
「りゅあってば!!」
肩をガシッと掴まれ、ハッと我に返ったりゅあは、キョロキョロと首を振った。
「…葉月。何今の…」
言いかけて、葉月が言葉を遮る。
「何バカな事言ってるの?
大丈夫?」
「うん…」
何だったんだろう?
あの声は誰?
前方では愛奈がにまんと笑っていた。
「決まったかな?」
「え?あ…
青いリボンのやつ」
全くもう心配させないでよっと葉月が怒鳴る中、りゅあは愛奈にお金を渡した。
「それはね、スピードが上がるアイテムだよ♪」
りゅあはツインテールに結わえた髪の付け根にリボンを結び終えると、愛奈の言葉にへぇ〜と頷いた。
青と白でまとまった自分の服装には、青いリボンも結構似合うかも。
「お金が貯まったらまた買うわね。
威力も試してみたいし」
「毎度あり☆
私は暫くここでお仕事頑張ります〜」
葉月は、先を急ぐからと愛奈に告げるとスタスタと歩き始めた。
が、未だぼーっとして立ち尽くしたままのりゅあを見ると、また声を張り上げる。
「りゅあ?
あんた、目的を忘れた訳じゃないでしょうね?」
「あっ…
じゃあね、愛奈!!」
…そうだよね。
あの訳解らない声を気にするより、先ずは朝霞だ。
カタ平原での亜人もおかしかったし…
そう思い直し、気持ちを改め葉月に駆け寄る。
「またね〜」
遠くの方で手を振る愛奈に、手を振り返して。
カタン村の繁華街を抜け、マシムシの森へ向かうのだった。
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