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メタルハート
葉月邸
「じゃあ…昨日、私の足ゲリを受けたのも、今日りゅあに大怪我させたのも知らないと?」

葉月の眉がピクッと動く。
朝霞は、空になった二人のカップにローズティーを注ぎながら、驚きの表情を見せた。

「えっっ!!
りゅあ様の怪我ってまさか朝霞が!?」

ティーポットを持った朝霞の手がわなわなと震え出す。
今にも泣きそうな声と涙を堪えて、りゅあの方に向き直った。

「ごめんなさいっ!!
朝霞何もわからなくて…
そいえば帰り道の途中から記憶ないです…
気付いたら、葉月様がお仕置きを…」

もう涙は溢れていた。
ふぇ〜と泣きじゃくる朝霞は、ごめんなさいばかり連呼しているが、嗚咽混じりで言葉になっていない。

「朝霞、私は大丈夫。すぐ治るよ?
だから泣かないで。
朝霞が悪いんじゃないんだから!」

「…そのようね。
朝霞、あんたはメダに行ってから行動がおかしかったわ。
メダで何かあったのね?」

その言葉で朝霞はふっと泣き止んだ。
そしてニコッと微笑み、首をかしげる。

「ん?
朝霞、メダに行っておかしくなったんですかぁ?」

…どうやら本人には本当に自覚がないらしい。
おかしくなっている間の記憶もないし。
どういう事なんだろう?

「…ねぇ朝霞、
ウェイターの人ってどんな人だった?」

目一杯の沈黙の後、りゅあが切り出した。
先程の朝霞の証言によれば、酒を飲んだ後から記憶がない。
では、飲ませたウェイターが一番怪しいのではないか…

「ん〜
コンパニオンのお姉さんだった筈ですぅ。
でもお酒は皆に配ってましたよぉ?」

朝霞は、自分の三角耳をわしゃわしゃ掻きながら、「葉月様みたいなボインでしたぁ♪」と笑った。

「確信に迫らないわね。
他に何もなかったの?」

呆れた様子の葉月は、ボインについては当たり前だの如く流し、ローズティーを一口すすった。
隣では朝霞のんんん〜という呻き声が聞こえる。

「あッ☆
ダンスでノリノリの所に男の人から話し掛けられたりしましたけどぉ」

…それって
ナンパ…!?

りゅあと葉月は互いの顔を見合わせながら肩をすくめた。

「…拉致があかないわね…
こうなったらメダに行くしかないわね。」

…全く役立たないんだから!!と不機嫌な葉月を余所に、
朝霞はまだ事情がよく飲み込めてない様子でニカっと笑った。

「メダに行けば何かわかるかも!!
早速出発しよッ!!」

そして二人はメダに向かうのだった――



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あきゅろす。
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