メタルハート
カタン村
「さてと…ここら辺でいいかな〜」
愛奈は辺りをキョロキョロ確認してから、へたんという軽そうな音と共に、背負っていたベージュのリュックをおろす。
隣近所では野菜、肉、魚、酒、日用品…色々な店が軒を連ねていた。
他愛もない徒然とした会話をしながら、目的地カタン村の中心街まで来た三人。愛奈はしばらくこの村で商売をするらしいので、折角の機会に品物を見せて貰う事になった。
「えーと、並べるからちょっと待ってね〜」
「え?並べるって…」
りゅあの疑問をよそに、愛奈はリュックの蓋を開けて片手を突っ込んだ。
そして中から剣、杖、鎧、甲冑、薬などが次々と飛び出す。
果てには鍋や壺やタライまで出てきて…
やっぱり明らかにリュックよりも容量が大きな品物が出てくる…
『あのリュック…』
『えぇ。謎だわ…』
小声で話すりゅあと葉月は、リュックから出てくる色々な品物に目を丸くした。
否、リュックに。
「ん?
あぁ…これは時空のリュック。
ホテルの部屋番号みたいな仕組みになってて、覚えた番号だったらそこに保管した物が取り出せるって訳☆
まっその番号ってのが何万もあるから大変なんだケド!
便利でしょ〜♪」
愛奈は痛い程の二人の視線に気付いたのか、その摩訶不思議リュックについての謎解きを話した。
「…すごいリュックだったんだね?」
「まぁ何か変だとは思っていたわ」
唖然とする二人を見て、更に愛奈は説明を付け足した。
「しかも軽いし!!
あっ…そうだ!このリュックね、番号知らない人が手突っ込むと食べられちゃうから気をつけてね?」
「た 食べる?!」
「愛奈…あんた、記憶力いいのね…」
要するに盗難防止の為の防衛手段なのだろう、と解釈する葉月の隣で
りゅあは、リュックが人を食べるなんて…と顔を青くしていた。
「慣れです慣れッ!!
さっ存分に品物見てって下さ〜い!!」
品物を全て並べ終えた愛奈は、両手を広げ催促した。
よく見れば武器や防具だけではなく、戦闘の助けとなるアイテムが沢山ある。
「へぇ〜アクセサリーもあるのね」
葉月は紫に金の縁取りが施されたバレッタを手に取る。
「アクセサリーは身に付けた方がいいよ!!
うちのアクセは骨董品でね!!
スピードなんかの補助的な能力を上げるからね♪」
「えっそうなの?」
普段お洒落に疎いりゅあでも、そんなアクセサリーなら興味津々だ。
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