メタルハート
カタ平原
「あの…ありがとう!!助かったよッ」
満面の笑みを浮かべて、先程知り合ったばかりの少女の手を握り、ぶんぶん上下に振る。
この少女がいなければ、りゅあは傷をおっていただろう。
「こちらこそ、助けてくれてありがとう!!
あんなに大勢でこられても困っちゃうよね〜ι」
少女は人差し指でポリポリと顔をかきながら答えた。
よく見ると、ポニーテールにした長い黒髪と、赤い瞳が印象的だ。
赤いタータンチェックのミニスカートに、胸の谷間が覗くメイド服のようなベージュ色のトップス。
「で…どうやら戦闘に長けているようだけど?」
葉月は一抹の疑問を投げかけた。
りゅあもそこは逃さず聞きたいらしく、目を輝かせている。
「あ…私、行商を生業としています、愛奈<メグナ>です!
カタン村に向かう途中、あいつらに襲われて…」
「行商人さん?」
「はい☆
武器や防具、お薬まで何でもお売りしますよ〜」
成程、だからリュックからロケット花火が飛び出す訳か…
と納得するりゅあと葉月。
だが、リュックの外見の大きさよりも容量が大きい物が出てくるのは…謎だ。
「えっと、こっちが格闘家の葉月で、私が剣士のりゅあです!!
宜しくね〜」
「よろしくです!」
一通り自己紹介が済んだ所で、本題を切り出す。
「とりあえず…
私達も同じ方向だし、カタン村まで行くなら同行しない?
ここ、盗賊が出るって噂だし一人よりは安心だものね。」
葉月の提案に賛同する二人。
そしてカタン村までの道のりを歩き出した。
――その三人のやりとりを、遠くの木陰から見守る者が居た。
この暑い中、襟にファー付きの黒いコートを羽織った男…
フードを被っている為、顔は見えない。
彼は木の枝に座り、葉に身を隠しながらこちらの様子を静かに見守っていた。
「…あれが例の…
しかし危なっかしいな…」
独り言のように呟いた声は、若いけれど低いものだった。
ふうっと溜め息を吐き、クスリと笑う。
「ふん…面白くなって来たな…」
冷たい笑みを見せた後、彼は跡形もなく瞬時に姿を消した。
三人には気付かれる事なく…
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