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メタルハート
カタ平原
「青雷<セイライ>…」

りゅあが目を見開いた瞬間、両手で前方に構えていた紫流から青い光が放出!
その場にいた十数人の狼男達を包み込んだ。

ジリリ…ジリッ
青いプラズマから放たれる音が耳につんざいて響く。
その場にゆるゆると倒れ、痺れたように体を震わせて口からあわを吹き出す狼男達。

「す、すごいです…」

葉月の傍らで様子を伺っていた少女がぽつり呟く。
ふっと鼻で笑う葉月が、彼女に説明した。

「りゅあの剣技、青雷よ。
剣に自らの氣を送り、剣で雷に変換し放出する全体技。
たいしたもんね…」

微笑した葉月自身、りゅあがこれ程の実力だとは知らなかった。
これなら威力を抑えれば感電だけで死には至らない。
りゅあも安堵の息をついたその時。

「…っ!!危ない!!」

少女の叫びが安堵の息をついたりゅあに向かって投げられる。
葉月の破足刀で倒れた狼男がりゅあに向かって駆け出した!
やはり元は狼なのか、四本足で駆けるスピードは二足歩行の時よりも数段上。

隙をついた攻撃に、りゅあは一歩出遅れ、体制を崩してしまった。

「…まずいわ!!」

葉月でさえもそう感じた、正にその一瞬だった。

傍らから何かが、狼男に向かって飛び散る!

ヒュルっ…ヒュルヒュル…

火花を散らしながら一直線に飛ぶ"何か"は、狼男の大きく広い体にヒットする。
と同時に幾つものそれが、狼男めがけて飛び交い始める!
火花がまるで虹のようだ。

「こ これって…まさかロケット花火?!」

葉月がぽつりと呟きハッとして、隣にいるはずの少女を見やると、
リュックから何十発もの束になったロケット花火を取り出し、着火する所だった。
明らかにおかしいのは、花火の束の方がリュックの容量よりも大きい事なのだが…

「…あんた何者?」

聞こえるか聞こえないかの音量で呟いたが、葉月自身、そのダイナミックで奇想天外な攻撃方法に呆気にとられていた。
狼男の方も、予期せぬ不意打ち攻撃になす術なく、ぐたりとその場に倒れ込んだ。
その向こうには、狙われていたりゅあの吃驚の表情があった。

「…あちゃーι
ちょっとやりすぎちゃったかな?」

攻撃を仕掛けた当の本人は、ひょうひょうとした様子で。

平原のど真ん中には黒い狼男達の倒れた群れと
彼ら数十人を無傷で勝利した三人の安堵の息があった。



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あきゅろす。
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