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メタルハート
港街メダ
「全く脳天気ね…
あんな怪我して一晩でピンピンするなんて、りゅあ位なものよ?」

パンフレットを適当に折り畳み、葉月は腕組みをする。

「それにしても…メダに来たはいいけど収穫ゼロ。手詰まりだわ」

ざわざわと活気が飛び交う商店街の騒音をBGMに、葉月は溜め息を吐く。

「うーん…観光協会って結構テキトーぽかったしね…」

メダに着きまず始めにした事、それはイベントの元締めであるメダ観光協会に問い合わせた事だった。
朝霞の参加したダンスイベント。
それから日数が経った今では、元締めに確認を取る事しか出来ないだろう、と思ったからだ。

繁華街から少し抜けた高級住宅街の一角、メダの風情ある街並みに似合わない、大きな看板と幟を掲げた真新しい建物。
大文字ででかでかと掲げた看板をくぐりわざわざ出向いたのだが、結局二人は軽くあしらわれた。

「次から次へイベント、イベント、イベント。
いちいち参加者を把握しないのも無理はないけどね。」

観光協会の回答は、
「特に変わった様子はありませんでしたが」
「不審者?いるわけがないでしょう」
「参加者名簿は外部にお見せできませんので」
…等々。
要するに、聞いても収穫にはならない事ばかり。

諦めモードの葉月からは、いつもより大きな溜め息が何度も漏れる。
と、その隣でりゅあは目を輝かせていた。

「葉月っ!落ち込んでもしょーがないよ!
…それよりここのお店入ろうよ〜」

りゅあの指差す方に目を向けると、店頭にはクリーム菓子や洋菓子の並ぶ甘屋だった。

「…ッあんたは楽天的過ぎるのよ!
どうせ食べるならあっちね。」

そう言った葉月の指はりゅあとは正反対の方向に向けられる。
振り向くとそこには、氷菓子や団子が並ぶ茶屋。
"メダ名物おさかな団子"という文字が如何にもわざとらしい。

「…え〜。」

「折角来たんだから、せめて名産品を食べて帰らなきゃね!」

そう言うや否や茶屋に駆け寄る葉月は、りゅあの賛否など聞いちゃいない。

…フルーツパフェ食べたかったのに!

地団太を踏んだその時、りゅあは肩を掴まれた。

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