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メタルハート
港街メダ
―――…

港街メダ。
ニッカ大陸の西に位置するこの街は、その名の通り漁港と観光で栄える大きな主要都市だ。
住民達は漁師や宿屋、小料理屋を営む者が多く、新鮮な海の幸が豊富だ。
また海に沈む夕日が綺麗な事から、様々な年代の観光客が訪れる。
街の観光協会では近年、『夕日に愛を誓うカップル大会』、『新鮮刺身の大食い大会』など様々なイベントを催して活気を集めている。

「…まあ刺身の大食いはわかるわよ?
でもカップル大会って何を競うのかしら?
失礼しちゃうわねっ」

葉月は手に持ったパンフレットを睨みながら、疑問を口にする。
この街の至る所に、メダを紹介するパンフレットが置かれていたのでナビゲーション代わりに読んでみたものの…
やはり観光客向けで、一年間のイベントや旬の幸等が書かれているだけのようだ。

「まさかそんなにイベントが盛んなんてね〜
それに比べたら朝霞の言ってたダンス大会は、割と普通な方なんだね(笑)」

パンフレットと睨めっこを続ける葉月の隣で、目を輝かせながら物珍しく辺りを見回すりゅあは、脳天気にそう言った。

あれから葉月邸で一夜を過ごしたりゅあは、怪我の具合も大分良くなっていた。
りゅあ自身はすぐにでもメダに向かおうと意気込んだのだが…案の定、葉月と朝霞に制止、拘束される。
一晩大人しくしてなさい、との葉月令が出され、久々のお客へ料理を振る舞える朝霞が万歳で喜ぶ。
そしてそれを葉月が叱咤し…といった具合。
つくづく、漫才コンビのようなノリのこの邸宅は笑いが耐えなかった。
…まあ笑っていたのはりゅあだけだが。

そんなこんなで早朝に葉月邸を後にし、正午過ぎには港街メダに到着した…という具合。
途中の道すがらにある永遠の酒場シリウスに立ち寄ろうかとも考えたが、どうしてもこの真相を早く掴みたかったのだ。

…朝霞の為にも
…自分の為にも


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あきゅろす。
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