[携帯モード] [URL送信]

メタルハート
酒場シリウス
「自然の大問題…ね。
あながち間違いではないけどそれじゃ50点。」

マリアは右手の五本指をかざしながら、皮肉った笑みを浮かべた。
まるで試されているかのようで、歯痒い。

…何なんだ?
何が言いたいんだ、彼女は。

永遠が不自然に黙り込んでいると、マリアは血のように赤い眼を閉じ、ゆっくりと語り出した。

「あなたが蓮とどうなろうと、又は手塩に掛けてるあの子達をどう導こうと…
私にとっては所詮小鳥の囀りのようなもの。
勝てっこないわ。」

マリアはそう言いながら、閉じていた瞼をかっと見開いた。
その瞬間。

ゾクッ

背筋が凍る。
マリアから放たれた毒々しい氣が永遠を襲った。
気でも狂いそうな程の、真っ赤で、真っ黒な、おぞましい氣…
それでも彼女にしてみたら、ほんの少しの挨拶代わりなのだろうが。

「…それって宣戦布告かい?
僕は…シリウスは、あくまでも中立だよ。」

マリアの氣のせいで周囲の客も何事かと目を見張る中、永遠も負けじと反論する。
冷や汗が背中を伝った。

「昔の事は忘れたって言うの、永遠?
…まあいいわ。私が憎いのはあなたじゃない、蓮だもの」

そう言われた瞬間、我慢していた想いが溢れて、弾けた。
永遠の拳がふるふると音もなく震える。

「あいつの事憎いなら、僕は貴女が憎いッ…!!」

半ば叫ぶようにして、涙を堪える。
何故わざわざ傷に触れる?
胸くそが悪い。

するとマリアは、そんな永遠を逆撫でするかのように嘲笑った。

「ふふ。そんなあなたは魅力的よ。
…兎に角、亜人の事に首を突っ込むならお止しなさい。きっと死ぬわ、あの子達」

クスス…
そう告げたマリアの笑いは止まらない。
不気味な死神か、それとも悪魔か。
永遠は、怒りと恐怖で立ち尽くすしか出来なかった。



…蓮。


頼む、
早く帰って来て。

<←*><#→>

17/25ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!