メタルハート
酒場シリウス
「…ふふ
その様子だと知っているようね。さすが、シリウスを名乗るだけあるわ」
妖艶なマリアの口元。
だが、その言葉を聞いた途端、永遠の態度は一変する。
「それは言うな…!!
シリウスはただの酒場だ…!!」
周囲の客には気付かれないように、小声で力強く叱咤した。
するとマリアは、余裕の笑みでまたブランデーを飲む。
「んふ…熱くならないで。
蓮が居ないんだから仕方ないわよ、それは。」
―――バンっ!!!!
大きな音が響く。
思わずカウンターテーブルを両手で叩いた永遠は、血管が浮き上がる程にキレていた。
その音に客がザワザワとどよめき始めると、何も言い返せなくなり黙り込む。
「あらあら…地雷だったかしら?
それより亜人の事、聞きたくない?」
マリアは、そんな永遠の様子に慌てる素振りさえ見せない。
寧ろ滑稽な物が見れたとばかりに、永遠の様子を楽しんでいるかのようだ。
…こんな相手にムキになるのも大人気ない。
永遠は溜め息を一つ吐くと、話に戻った。
「…亜人が暴れ出すって噂は客から聞いたよ。
何か知ってるの?」
店の客、いや、シリウスの客じゃなきゃマリアとは関わりたくもない。
いつもはハスキーな永遠の声が低くなったのは、せめてもの反抗心からだ。
「ここだけじゃないわよ。
ミラクルアース4大陸全土で、それは起きているわ。」
マリアはグラスを揺らしながら語り始めた。
「ここ西のニッカ大陸、東のローゼス大陸、南のアランビック大陸、北のカミュ大陸、各大陸の主要都市で亜人の異変は報告されてる。
あなたこれをどう思う?」
指先に付けたグラスの結露でちょんちょんとテーブルに印を描きながら、マリアは説明した。
「…自然の大問題とか?
それより貴女が何故そんな事知ってるのかが気になる所だけど」
そう永遠が自身の茶色い猫っ毛を掻きながら言うと、マリアはふうんと呟いた。
<←*><#→>
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!