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メタルハート
カタ平原
「…亜人のようね。」

「葉月!!」

後から追いかけて来た葉月も、些か厄介な状況だと悟っただろう。

「狼男の類のようね…でも、おかしいわ。
彼らは満月の夜しか姿を見せない筈なのに」

状況は腑に落ちないが、危険な輩だという事に変わりはない。
満月の夜に変身する狼男は、それ以外の時は温厚な性格だと言われている。
満月の夜にだけ血が騒ぎ、遠吠えや凶暴化したりはするが
普段は辺鄙な所で集団生活をしている。
しかし人を襲おうとすればその筋力、鋭い牙や爪が武器となり凶暴と言われるだろう。

つまり、今正にいつ襲ってこられてもいい状況ってか…

突然、黒い影―狼男の一人が、
人の頭程もある分厚い大きな手を挙げ、りゅあと少女に襲いかかってきた!

が、葉月の170pの長身が素早く間合いに割り込む。
その一瞬のうちに葉月の氣を放出した技を繰り出す!

「破足刀!!」

…大きな地震のように狼男の体が震えた。
内臓へのダイレクトな攻撃に、白目をむいてその場に倒れ込む。

「りゅあ…考えてる暇は無いようよ!!
適当に傷を負わせて、襲ってこれないようにするわよ!!」

「岑打ちねッ…了解!!」

四方を囲まれた状態にいるりゅあ達は、少女を中心に背中合わせに態勢をとった。

相手の懐に入る近距離攻撃型の葉月は守りを固めつつの攻撃は不利。
となると、長剣使いでスピードのあるりゅあが攻める側に徹した方が都合いい。
葉月に少女を守るようアイコンタクトを交わし、りゅあは目標に飛び込む。

「てやッ…!!」

狼男達は、小動物のように素早く駆け抜けるりゅあに翻弄されていた。
常人とは思えない程の軽い身のこなしのりゅあの攻撃が、狼男の鳩尾付近にヒットするのだが、何分鞘に入ったままの長剣での岑打ち。
よろめきはするものの、大打撃にはなってくれない。

「…くっ。
やっぱ単なる岑打ちだけじゃダメみたいだね…」

りゅあは狼男達から少し距離を置き、ゆっくりと剣を抜いた。
水が個体になったような、マリンブルーの刀身。
気泡のような模様が散らばるりゅあの剣―紫流<シリュウ>が光る。

「――いくよ紫流…」

静かに目を閉じた。
深呼吸をしたりゅあと紫流の周りに、青いオーラが漂う。
まるで陽炎のように…

その時。

青い陽炎は稲妻のように、彼らを襲った。

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