過去の拍手お礼 6000H【拝み屋】 A拝み屋―望VS生き霊― 『……………助け……て』 ぐっすり眠っていたおれは、囁く様な声に目を開けた。 「――??だれ――?」 体を起こし、完全に目覚めたおれは声の主を探す。 目の前には綺麗なお姉さん。 普段の状況ならば大歓迎だ。 だけど―― ここは、おれの部屋。おまけに只今の時間AM3:00―― この状況じゃ、手ばなしには喜べる訳が無いに決まってる。 『誰だ? あんたは……』 一応コンタクトをとってみる。 拝み屋だから、初めてな訳じゃ無いし。 『……助けて……私……殺される……かも……?』 かも? かもって何だよ? 分っかん無いなぁ。 『そんな事言ったって分かんないんだもん!』 口に出して言ったのでは無いが、反論して泣き出してしまった。 なんせ、生き霊だ。すすり泣くから、不気味な事このうえ無い。 『わかった! わかったから、泣きやんでくれる?』 彼女(生き霊)から話しを聞き出し、割と近くだったので行ってみる事にした。 そ〜っと、出掛けようとしたが夜中にトイレに起きて来た、ば〜さんとパッタリ出会った。 「こんな夜中に何処へ行くんだい? おや、生き霊だね?」 ば〜さんに事情を話し一緒に行って貰う事になった。 『ここよ……ここで殺される……のよ……わたしは……』 マンションの一室を指し、生き霊は中へ消えて行った。 「消えちゃった……どうするよ? ば〜さん。って、入んのかよ!」 スタスタと中へ入って行くば〜さんの後を追いおれもマンションの中へ―― マンションの二階206号室の中から、ドタバタと音が聴こえて来た。 「おい! 大丈夫か? ば〜さん」 慌てて中に入っておれが見たもの、それは―― あの、お姉さんの上に跨り首を絞めている男に、ば〜さんが回し蹴りを喰らわしている場面だった。 「すみません、もうしませんから……」 ペコペコ頭を下げて謝る男女。おれとば―さんは冷ややかに見ている。 「全く! プレイ中に死んだら、全国の笑い者になるよ!」 顔を赤くしてうつ向く二人に、あまりの場面を目撃した、おれも赤面する。 「望、帰るよ!」 言うなりドシドシ歩いて行く。 「おい、ば〜さん。依頼人でも無いのに金取っただろ?」 当たり前だと言う、ば〜さんを敵わないな、と思う望だった。 [前頁][次頁] [戻る] |