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8000H【佐伯執事】
@赤月家 執事佐伯の業務
お初にお目にかかります。私は赤月家の執事『佐伯吾朗』と申します。
歳は、皆様のご想像にお任せする事にしてこのお屋敷にお勤めする様になってから四十年の月日が流れたとだけ申しておきましょう。
このお屋敷には病院を経営されて居られるご主人夫婦と二人のお子様がいらっしゃいます。
そうです、皆様も良くご存知の慶吾様と章吾様です。
このお二人がお生まれになってから今まで成長を見て来た事が私の生き甲斐であり、楽しみでも有るのでございます。
「佐伯! 何で起こしてくれないんだよ遅刻してしまうだろ! 」
この方が長男の慶吾様です。大学に通っておりまして、病院の後を継ぐために、勉学に忙しんでおられ……
「佐伯っ! 一体誰と話しているんだ? 」
「いいえ、慶吾様。昨日聞いた処によると、今日はお休と伺っておりますが……」
慶吾様はハタと思い出された様で「あ、そうだった! あ〜休みの日なのに早く起きてしまった! 佐伯、も一回寝直ししてくるから昼に起こしてくれ」
如何にも悔しそうにお部屋に引き上げて行きました。
「佐伯も大変だね。兄さんは我が儘だから……クスッ」
私に声を掛けてくださいました、このお方こそ次男である章吾様でございます。
まだ、高校生でありますが慶吾様よりも数倍落ち着いていらっしゃいます。
私めなどを慕ってくれ、利発でお心のお優しいお方でございます。
「佐伯、今日は部活で遅くなるから食事は先に食べているんだよ」
このお屋敷では滅多にご家族が揃う事がなく夕食も皆様バラバラに召し上がります。
私は普段章吾様と一緒にお食事をする習慣なのです。
使用人とお食事とは普通だったら考えられない事でしょうが、章吾様は幼い時から最近まで家から遠く離れた処へ行ってらしてて、一時期はかなり荒れていた事がございました……
ご夫婦は忙しさの余り章吾様には構わないので私は差しでがましいとは思いましたが、章吾様を放っては置けなかったのです。
「佐伯、聞いてる? 」
「はい、分かっておりますが、私は章吾様との夕食が一日で一番の楽しみなのですよ。ですから、お待ちになってもよろしいですか?」
章吾様は嬉しそうに頷き、元気に登校して行かれました。
私は一日の始まりに必ず神棚に手を合わせお願いします。
今日も一日無事にご家族様方が過ごせます様に……
佐伯執事も頑張れ! (何に?)
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