月三物語
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「赤月……」
「ああ、月島はさっき言った事が知りたいんだね? 私が守ると言った意味を……」
俺が何も言わなくても、赤月には分かるみたいだ。
「私が思うに、君のお母さんは能力を隠しておきたかったんだと思う。周りに知れたら、君は普通の生活を送れなくなるから」
それを聞いて、思い出した事がある。
あの日、俺がぐっすり眠っていると、側で母さんが話し掛けた。
「浩司……今日の事は夢だったのよ。何にも無かったの。あなたは車に何もしなかった……」
*―*―*
母さんだ。母さんも、能力者だったんだ!
「月島の力は、サイコキネシスだな」
「サイコキネシスって、あの、手を触れずに物を動かすアレか?」
赤月は頷き、苦笑しながら言った。
「私か? 私の能力は……テレパシーだよ。だから私が『力』を使った時に、月島も聞こえたんだよ。普段は使わない様にセーブしてたんだけど……」
『気味が悪いかい?』
赤月の意識が、俺に流れ込んできた。
ああ、そうか……その能力のために嫌がられた事があるんだ。
「何で? 普段は『力』を使わないんだろ? だったら、別に俺は気にしないよ。それに、俺も、赤月の感じてる事が分かるみたいだし」
赤月がハッとした顔をして、嬉しそうに笑った。
「そうか! 月島も聞こえるのか? 良かった。 じゃあ、お互い様だな」
あんまり嬉しそうにしてるから、俺も楽しくなって。
「ああ、お互い様だ。赤月、よろしくな!」
固く握手をしたその時、保健室のドアの側で、モヤモヤとした影が揺らめいているのが見えた。
「月島、もう一人の仲間が来たみたいだ」
もう一人? 他にも誰かいる?
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