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月三物語
ページ4

「赤月……」

「ああ、月島はさっき言った事が知りたいんだね? 私が守ると言った意味を……」

 俺が何も言わなくても、赤月には分かるみたいだ。

「私が思うに、君のお母さんは能力を隠しておきたかったんだと思う。周りに知れたら、君は普通の生活を送れなくなるから」

 それを聞いて、思い出した事がある。




 あの日、俺がぐっすり眠っていると、側で母さんが話し掛けた。

「浩司……今日の事は夢だったのよ。何にも無かったの。あなたは車に何もしなかった……」



*―*―*


 母さんだ。母さんも、能力者だったんだ!

「月島の力は、サイコキネシスだな」

「サイコキネシスって、あの、手を触れずに物を動かすアレか?」

 赤月は頷き、苦笑しながら言った。

「私か? 私の能力は……テレパシーだよ。だから私が『力』を使った時に、月島も聞こえたんだよ。普段は使わない様にセーブしてたんだけど……」

『気味が悪いかい?』

 赤月の意識が、俺に流れ込んできた。
 ああ、そうか……その能力のために嫌がられた事があるんだ。


「何で? 普段は『力』を使わないんだろ? だったら、別に俺は気にしないよ。それに、俺も、赤月の感じてる事が分かるみたいだし」

 赤月がハッとした顔をして、嬉しそうに笑った。

「そうか! 月島も聞こえるのか? 良かった。 じゃあ、お互い様だな」

 あんまり嬉しそうにしてるから、俺も楽しくなって。

「ああ、お互い様だ。赤月、よろしくな!」

 固く握手をしたその時、保健室のドアの側で、モヤモヤとした影が揺らめいているのが見えた。

「月島、もう一人の仲間が来たみたいだ」

 もう一人? 他にも誰かいる?


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