月三物語
ページ13
「冗談なんかじゃないさ。涼は女だよ」
「だけど、≪跳んで≫来た時。涼を抱いたけど確かに男だったぞ」
そうだ、痩せて骨ばった体。胸だって無い少年の体型だ。
「涼は過去に辛い事があって、時を止めたんだ……」
『時を止める?』
その先の話は、本人に聞くのがいいと言われた。
そして涼が待って居るとも……
「赤月はどうするんだ? 青木の事、アイツは本気だ。本気でお前の事を……」
「私は……私の事は、放って置いてくれ。これは、アイツと私の問題だから……」
それ以上俺は何も言えずに、赤月の家を後にした。
次の日――青木の姿を探したが何処にも居ない、おまけに赤月まで大学を休んでいた。
涼は俺を探していたらしい。
俺の姿を認めると、必死な顔をして側にきた。
「浩司、章吾が居ないよ……昨日オレが怒ったから? でも、嫌だったんだ、あの事を知られるのが、だって、だってさ……自分の感情を押し付けるみたいでさ……」
ぽっりと、涼が下を向いて言った。
「涼、俺は気になんかしない。それに……」
『お前の事が好きだから』
言いかけて止めた。
まだ涼に聞いていない事がある。
そして、青木に会って話さなければ――
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