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月三物語
【秘密】

 私は月島に会うために月華(げっか)警察署の廊下を歩いていた。

「あっ、赤月さ〜ん。こんにちは! 月島さんに用ですか? 」

 月島と組んでいる、水月遊木(ゆき)がニコニコして話し掛けてきた。

「うん、居るかな? 」

 遊木がニコニコしてるとこを見ると、月島はそれほど落ち込んではいないと思ってホッとした。

 けど、その予想は外れ月島の顔を見た途端、余りの嘆きに胸が押し潰される様な気がした。

 感情の渦に巻き込まれそうになり声を掛けるのが躊躇われる。

「……月島、実は……」

 デスクで書きものをしてた、月島は私を真っ直ぐ見て言った。

「良いんだ……涼が選んだ道だから、たとえ嘘でも信じるさ」

「……知ってたのか」

 月島はそれが仕事だからな、嘘を見破るのがな。と淋しそうに笑った。

「何だ? それを言いに来たのか? 」

 私は瞬との事を言った。もし思い出したら教える約束だった。

「良かったな赤月、青木をよろしくな、アイツは良い奴だから」

 私は判ってるよと言い、月島の肩を触る。私は泣くのを堪えるので精一杯なのに月島の奴は……

「大丈夫だから、俺には仕事がある。一生賭けても良いぐらいのな……だから気にするな」


 月島と別れ警察署を出た私に遊木が声を掛けて来た。

「赤月さん、話しがあるんです。月島さんの事で……」

 近くの喫茶店に入ると、遊木は泣きそうな顔で話し出す。

 遊木は月島の後輩で、歳は二歳下の二十四歳で涼と同じ年だ。眼鏡をかけて背が小さく、可愛らしいといった感じの子で、何回か会ううちに仲良くなった。

「実は赤月さんに話してない事があるんです……」


 遊木の言ったことに私はショックを受けて黙り込む。沈黙が流れた。

「遊木、悪いが手を出してくれないか? 」

 遊木の差し出した手に私の手を重ねる。途端に遊木の思考が流れて来て映像が浮かんだ。


「分かったよ、遊木ありがとう……」

 遊木はホッとして、笑った。そうして笑った遊木は何処となく涼に似ていた――



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あきゅろす。
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