運び屋 青木瞬介の日常
6
俺は、痛む足を擦りながら玲児に言った。
「幾ら何でも、やりすぎじゃないか? イテェったらありゃしねぇ」
玲児は、微笑みながら俺に言う。
「お前が真琴に色目を使うからイケないんだろ」
はあ……コイツは、笑いながら人をいたぶるサドなんだよなぁ〜ついていけねぇぜ、ホント。
それにしても、何処で見付けて来たんだ? こんな可愛い子ーー
また、見とれていたら今度は、張り手をお見舞いされた。
『バッチン!』
クッソ――!!
もう、怒ったぞ! 俺だって、堪忍袋があるんだからな! って、何でお前が泣くんだよ? え?
玲児は泣いていた。その隣で真琴は、俺を睨み付けている。
「アンタ……レイを泣かして! 許さないからな!」
「おい! そりゃ無いだろ? えっ、もしかしてお前は……おとこか?」
顔だけ見てたら女だが、声を聞けば紛れもない男の声。
「当たり前だ、オレは立派な男だ!」
クッソ――! 騙しやがったな。どっから見たって、女にしか見えないぞ!
と思ったが、面倒臭くなって、玲児をなだめる事にした。
「悪かった。機嫌直して仕事の話しをしょうぜ」
「ホント? シュンは真琴の事好きにならない?」
涙で、グチョグチョになった顔を上げ俺に迫って来る玲児。
俺はちょっと引いたが、構わず玲児は抱きついてきやがった! だが、真琴がじっと見ていたから、引きはがさなかった。
「ちょ、チョッと玲児。みんな見てるぜ。化粧が……」
その言葉に玲児は正気に戻りトイレへと、駆け込んでいった。
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