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運び屋 青木瞬介の日常
10

 俺は昨日の下見を思い出していた……
 水道局の職員を装い一人、依頼人宅へと訪問した俺に一家の家長であるショボくれた中年男が頭を下げて居る。
 其れを何の感情も出さずに人ごとの様に見つめる妻と子供達……

 どこか怯えた様子で男が話すには。やっと念願のマイホームを手に入れた矢先の、突然のリストラ……再就職しようにも、この就職難。若い人でも大変なのにましてや定年迄カウントダウンを数える身。
 せめて定年迄居られたら息子が後を引き継いで、支払いが出来たのにと、さめざめ泣かれても……

「まあ、大丈夫ですよ。私共に任せて下さい!取り立て屋なんかには、指一本触れさせません!」

―――――――――

「と云う訳なんだ。其れで具体的には玲児が取り立て屋を引き付けて居る間、俺達で運び出す。分かったか?」

 皆、釈然としないながらも渋々オッケ―と言った。

さあ、お仕事の始まりだぜ―――



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