僕が探偵になった訳
その二
今朝の変な男のお陰で遅刻してしまった。
僕の、無遅刻無欠席の記録が〜あの男のせいで!
がっくし肩を落とした僕に、同じクラスで幼馴染みの明日香が授業中! にも関わらず話しかけてきた。
「ねー始ちゃん。どうしたの? 珍しいじゃない、遅刻して来るなんて」
僕は小声で「別に、寝坊しただけだよ」と言ったが、疑いの眼差しで僕を見ている。
しかし、今朝のあれはなんだ? 泥棒?! いや、あんな目立つ格好をしてなんの得があるのか。
だけど……まるであの家を見張っているようだった。
『まさか! 刑事?』
そこまで考えた所で、終了のチャイムが鳴り、明日香がこちらに向かってくるのが見えたので、僕は最大で唯一の特技である逃げ足を披露した。
あっという間に引き離し一人になった所でなんと! 今朝の男が、僕を手招きしているじゃないか!
僕は今朝のように知らんふりをしたが、男は僕の目をじ〜っと見ながら、ジリジリと近付いてきた。
「ねえ君。探偵にならないか? 今なら所長の特別レッスンがついてくるんだよ」
今時、キャッチセールスでも使わない怪しげなセリフを言い、僕の反応を見ている。
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