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僕が探偵になった訳
その一

 はじまりは――

 始まりはいつもと変わらない朝に起った。

 その日僕は寝坊をして、バスに乗り遅れそうだったので、必死になって走っていた。
 後もう少しでバス停に着くという所で、怪しい男が辺りを伺いながら一軒の家の前にいるのを目撃した。

 黒いスーツに、顔の表情が分からない真っ黒いグラサン。
 おまけに映画の中でしか、お目にかかれない背中まである黒の長髪!

(ど〜見ても怪しい……)


 僕がジッと見てたら、不意に男が振り向き、僕の方をジ〜ッと見返した!

 しか〜しっ! 正義感のカケラもない僕は、見なかった事にしてバス停へと急いだのだった。



 何故、あの時警察に突きださなかったのか?
 後に僕は、海よりも深〜く後悔する事になるのである―― 

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