僕が探偵になった訳
その七
いま僕は昨日来た探偵事務所にいて、ヘビ対マングースの試合を観戦していた……
「アンタが探偵なの? とてもそうには見えないけど。はじめを騙しても何にもならないわよ。この子のウチ別に金持ちじゃないから。まさか、美少年趣味とかって言うんじゃナイでしょうね?」
探偵は明日香が喋り終わるまで黙って聞いていた。
余裕の笑みを浮かべて……
それを見た明日香は更にヒートアップ! しまいには、掴みかかる様な勢いに……
「まあ、明日香くん。そこに座って落ち着いて話しをしないか? 始くん、済まないが冷蔵庫から飲み物を取って来て欲しいんだが」
僕も緊張の余り喉が渇いていたから、飲み物を取りに行った。
冷蔵庫の中には、アルコールとミネラルウォータしか無かったから、ミネラルウォータを三本取って戻ろうとしたら、勢いよくドアが開いて、ぶつかりそうになった。
「あれ? 赤月は居ないのか? 君は誰だ?」
声の主を見ようとしたが、何しろ目の前には男の厚い胸板しか見えない。
少し離れてから、頭を上げて見ると僕よりも20p以上も高かった。
デッケェ……
「お、月島来たか。少し待っててくれるか?」
赤月が月島と呼んだ男は、赤月のデスクのゆったりした椅子に座り、寛いだ様子で僕に言った。
「君が赤月が言っていた、始くんか? それであそこで赤月と揉めてるのは君の彼女か?」
「違います。彼女じゃなくて幼馴染みです。それに、おれは探偵になりませんから」
「何だ? 揉めていたのか。君は赤月が信用出来ない、怪しいと思ってるんだ?」
目の前の月島と云う人は優しく問いかけた。
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