僕が探偵になった訳
その六
何だか、暗い気持ちになりながら家に帰ると、ちゃっかり明日香が、晩飯を食べて待っていた。
「始、遅かったじゃない。明日香ちゃんが、ずっと待ってたのよ」
「何でお前が、ウチで晩飯食ってるんだよ?」
僕がボソッと言ったら、母さんにボカッ! と殴られた。
……ッ、イテェ……
「何て事、言うのよ! アンタが遅いのが悪い!」
くっそう……それと言うのも、あの探偵のせいだ。
「おれ、飯いらね〜もう、寝るから」
僕は、度重なる災難に、すっかりヘコんでしまい、フテ寝をするべく部屋に駆け込んだ。
ベッドに横になり、今日の数かずの、出来事を思い出していたら、明日香がオニギリを持って部屋に入って来た。
「はじめちゃん。ねぇ? 何処に行ってたのよ?」
「勝手に入ってくんなよ! お前になんか、絶対に言わないからな!」
だが、明日香は、そんな事で諦めるようなヤツじゃない。
おれの耳をギュウギュウ引っ張り自白させた。
「ふ〜ん。成程ねぇ〜ヤッパ、はじめは騙されてるのよ。わたしが明日、バシッと言ってやるから! 明日は逃げるんじゃないわよ。分かった?」
もう、蛇に睨まれたカエル状態――すっかり諦めた僕は、明日のヘビ対マングースの戦いを見物することになったのだ。
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