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人魚シリーズ


 美海……必ず、逢いに行くから待ってて。




「坊ちゃま! ああ、ご無事でしたか。勝手に脱け出しては困ります!」

 息急ききって、教育係のリノが泳いで来た。
 僕が産まれるずっと前から、長年父に遣えている姥だ。
 僕は、ちょっとだけ反省する。
 リノだって、僕の為にこんな嵐の中を必死で探していたんだ。

「ごめんなさい、リノ」

「本当ですよ。さあ、父王様が大層ご心配されてましたから、急いで帰りましょう」

 後ろから急き立てられ、僕は渋々お城へと戻る。
 時折上を見上げながら。

    *****

「遅くなりまして済みません。坊ちゃまを連れて参りました……」

 お城に戻り、父の玉座にリノと僕はひざまずく。

「リオン。お前また、人間の所へ行って居たのか?」

 父に叱られると思っていた僕は、その優しい口調にびっくりして顔を上げる。
 父が微笑んでいて、隣にいるリノも口許が緩みそうに成るのを堪えてる様子。

「本当に坊ちゃまは、セイン様にそっくりで……」

「えっ、父さまも小さい時人間を見に行ってたの?」


 父王は、苦笑しながら頷き、話し出した。

「私もリオン位の時には、よく人間の所へ行っていたよ。伝説に憧れていたからね……」

 伝説……物心ついた時からいろんな人から聞いた。

 人魚と人間の恋の話。

 海の泡となって消えた、人魚のお姫さまの……

 僕のずっと昔の先人の話――

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あきゅろす。
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