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人魚シリーズ
18

「さあ、行きますよ。起きて下さい」

 軽く揺さぶられて、僕は目が覚めた。
 隣を見るとセイヤが大きな欠伸をしている所だった。

 遂に人間界に来たんだ。
 美海にやっと逢える――

「感慨に浸ってる暇はありませんよ。直ぐに出発しなければ飛行機に遅れますからね」

 僕は支度をしながら、魔法使いに聞く。

「飛行機に乗るのに、僕達の身分はどうすれば?」

「リオン、そんな些細な事など気にする事は無いんですよ。既に手配はして有りますからね。私が今まで何人の人魚を人間界へ送ったと思うんです?」

 人間界へと送られた人魚達は、魔法使いとの連絡を密に取り、後から来た同族を助け合うという暗黙のルールというものが有るらしい。

「だから、何ひとつ心配する事は無いんですよ。まあ、心配と言えばあなたの不自然な言葉使い位ですかね」

 やっぱり不自然なんだろうか? 気を付けなくては。

「おはようさん、朝食食べて行きなよ」

 トミーさんの言葉に元気になったのはセイヤだ。
 いそいそと支度をしてキッチンへと行った。

「ひとつ約束して貰えますか?」
 一緒に行こうとした僕を呼び止めて魔法使いは言ったのだ。

 人魚だと決して人間には明かさない事を。
 どんなに信頼出来る人に思えても。

「もし、約束を守らなかった場合は、契約は解除になります。直ぐに私達の世界へ戻らなくてはいけませんからね」

 僕は頷き誓った。必ず約束は守ると。



    *****

 飛行機はゆっくりと滑走路に降り立った。
 少し寝ていた僕は着陸の時の振動で目を開いた。
 窓の外はスッカリ暗くなっている。

「ん〜ぁ、良く寝たあ〜」

 セイヤも起きて一緒に窓の外を見て言った。

「すげ〜綺麗だなあ。外一杯に光が有るよ!」

 滅多にない事だけど、僕もセイヤと同じ事を考えていた。

 この、光のどこかに居るんだ。美海が――

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あきゅろす。
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