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人魚シリーズ
〜再会〜セイ

〜再会〜セイ
 セルジュが出ていってから直ぐに僕は外に出て捜した。心の中で馬鹿な自分を呪いながら……

 知らずに涙が溢れてくる。何故あんな事をしてしまったのか……
「セルジュ! ごめんよ! お願いだから出てきて……」

 浜辺に膝を付き遂には声を張り上げて泣いた。

――失ってしまった……僕の初恋――

***

「セイ……本当に大丈夫か? 」

 魔法魔術学校へと戻る朝、父さんが心配して言った。
 あれから僕はろくに口もきかないし食事さえ満足に取ってないから。

「大丈夫だよ父さん。じゃあ行って来ま〜す」

 遠く離れた場所で心配を掛させてはいけないと努めて元気を装って言う。

***
 学校は自宅から帰ってきた生徒達が元気に休み中の話しをして騒がしい。

「よお、セイ……どうしたんだ?その顔! まるで幽霊のようだ」

 同じチームのケントがびっくりして言った。

「うん、ちょっとね……」

 言葉を濁して答えた僕に後ろから肩を叩き、興奮して声をかけてきた奴がいた。やっぱりチームメイトのチェンだ。

「よ〜よ〜大ニュースだよ〜今時期に入学してきた奴がいるんだよ! それがまたスンゲ―可愛い子でさぁ〜オレ好きになっちゃいそ〜」

 そういえば彼は自宅に帰らなかったっけ。寝不足のぼんやりとした頭で考えてると、始まりの鐘が鳴り、皆おとなしく席に着く。

「皆さん、おはよう! 休みに自宅に帰っていた人は休み呆けはしてないかな? 」

 今日の一時間目は変身術でクリスティーナ先生の授業か。この先生はこの学校には珍しく若い女の先生だ。

「自宅に帰っていて知らなかった方達の為に、もう一回紹介しょうかな? 」

 先生がそう言うと、居残り組の中から盛大な拍手が沸き起こり僕はびっくりした。

『何だろ、この盛り上がりは』

「じゃあ、入って来て良いわよ。セルジュ君」

 その名前を聴いて僕の心臓は早鐘を打ち始めた。

『まさか? でもそうであって欲しい……』

 呼ばれて少し緊張気味に教室に入って来たのはセルジュ、君だった……

「初めましてセルジュ・フォン・カンパリーノです。よろしくお願い……」

 紹介の途中で僕に気付いた君は、言葉を失い立ち尽くしていた……



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あきゅろす。
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