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人魚シリーズ
〜出会い〜セイ

セイ side
 その日僕は父と一緒に釣りをしに海へ来ていた。魔法魔術学校の試験休みで久しぶりに家に帰った僕に父が誘ってくれたのだ。

「父さん、大漁だったね」

 その日の海は僕達に微笑み、天気も釣りも絶好調だ。

「セイ、先に帰ってコレを調理してるからな」

 家では釣りをした日は父さんがコックになって料理を振る舞う。母さんが生きた魚が触れないためだ。

「分かった。僕は後片付けしてから帰るよ」

 海から家まではさほど遠くない。父さんは先に帰って行った。

「さあ、今日はご馳走だぞ」

 足元で元気に尻尾を振っている我が家の家族の一匹のゴールデンレトリバーのジョンが元気良く吠えた。

 後片付けと言っても釣竿の手入れ位しかないからノンビリと砂浜に寝転んだ。気が付いたら寝てしまったらしい、ジョンの吠える声で起こされた。

 吠え声を頼りにジョンに近付くと誰かと一緒みたいだった。

「ジョン! 駄目だろ。人に吠えるなん……」

 近付いた僕が見た人は人じゃなく綺麗なとても美しい人魚だった……

「大丈夫? 綺麗な人魚さん――」

***

 僕が見つけた時は苦しそうにしていて、思わず声を掛けたら少しだけ目を開けたけど、そのまま気を失った。

「ジョン、離れて! 」

 気が動転してしまった僕は人魚を抱き上げ小屋に向かい走った。
 小屋に着き、ベッドなど無いから隅に置いてあった毛布の上にソッと寝かせて……目が離せなくなる。

 肌の色は何処までも白く漆黒の波打った髪が顔に掛っていて、指でソッと退けたら美しい顔が現れた。『綺麗だ……』

 見つめてると胸が苦しくなる。触れてみたくて仕方ない。
 と信じられない事に段々と様子が変わってきた。

 真っ黒だった髪が色が抜けて茶色になって人魚であるヒレが人間の足になってゆく。

 苦しそうだった息遣いも穏やかになって……ゆっくりと目を開けて僕を真っ直ぐに見つめ言った。
「君はダレ? 」

 目の前で人間の男の子になったこの人魚に僕は何も言えなかった……


 だって、すでに僕は君に恋をしていたから……




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