[携帯モード] [URL送信]

人魚シリーズ
16

「さあ、忙しくなりますよ。あなた達も何時までもボンヤリしてないで、早く支度して下さいね」

 魔法使いは何処か浮き浮きした調子で、僕達を残して小屋から出ていった。

 しばらくして戻って来ると、のんびりと話す。

「約束の時間は過ぎてるのに遅いなぁ。ん〜困った」

 僕らは顔を見合わせて?マークを出して居た。

(約束って、誰か来るのかな?)

 ここは海の釣り客が軽く休憩を取るための小屋らしい。
 所々に釣竿や網などが散乱している。

 一体誰が来るというのだろう? セイヤなどは我関せずといった感じだが、僕は心配でドキドキしていた。
 と、いきなりドアが開き、二十代半ば位の男の人が入って来るなり魔法使いを抱きしめた。

「セルジュ! 久しぶりだな〜元気にしてたか?」

 魔法使いは、にこやかに微笑んで、為すが侭になっている。

「無理なお願いを聞いてくれて、ありがとうトミー」

 トミーと云う人は僕達を見て頷き言った。

「もちろんセルジュの頼み事ならどんな事だって聞くさ。この子達も人魚なんだろ? ちゃんと日本へ行ける様に手続きはしてあるからな〜」

  最後の方は僕達に向かって言った。
 悪い人じゃなさそうで僕はホッとして、お礼を言う。

「まあ、良いって! 他でもない親友の頼みだし、事情も聞いて知ってるから」

「トミー、皆元気でやって居るのか? 先生方は?」

「おう、皆元気だよ。モン先生なんか逆に若帰った」

 二人和やかに話は弾み、気が付いたら外は薄暗くなってきた。

「今夜は俺の家に泊まって、明日出発して行きなよ」

 トミーさんに言われ、僕らは泊まる事になった。



 美海……やっと来たよ。




 もう少しで君に逢える……

[前頁][次頁]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!