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人魚シリーズ
13

 海斗が私を?

「ごめん、ちょっと見せて貰えるかな?」

 あまりの事で放心状態だった私に、樹音先生が優しく話し掛けてきた。

「あっ、すみません。でも、もう大丈夫ですから……」

 さすがに若い男の先生に診てもらうのは、恥ずかしい。

 樹音先生も気付いたのか。
「じゃあ、暫くここで休んでいく?」と言った。

 ベッドで横になりながら樹音先生を見て居ると、次から次へと生徒が……先生までやって来る。

 多分、樹音先生目当てかな?
 狭い保健室はすし詰状態に。
 嫌な顔ひとつせずに皆を診て回る姿に周りの人達は、ただポーッと見つめている。

「樹音先生……私、もう大丈夫ですから」

 何時までもここには居られない。
 先生に声を掛け保健室を出て行こうとしたら。

「心配ですね、ちゃんと病院へ行くんですよ」と言ってくれた。

 教室に入って行くと、クラスメイト達が私に群がり話を聞きたがる。

「ねぇねぇ、樹音センセって独身かなあ〜」

「分かんないけど……優しい先生だよ」

 クラス中の女子が注目してる樹音先生の甥が海斗たちなんて、なんか信じられないな。

「桜塚居るか?」

 担任の先生に呼ばれ、病院へ行って来いって言われた。
 どうやら、樹音先生が言ったらしい。
 仕方なく帰り支度をして校門を出た所で意外な人物に会った。

「送ってくよ……」

 海斗が声を掛けて来た。

「樹音先生に言われて来たの?」

 聞くと、違うと言われた。
 後ろを黙々と付いて来る海斗。
 何だか、安心している私がいた。

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