怪盗☆Blackパンサー
美貌の怪盗
「レイ、いよいよ今夜だね」
真琴が何処か浮き浮きして話しかけて来た。
オレは苦笑しながらも緊張して周りを見渡す。
ここは、オレの店。アンティークSHOP【onle】
品物は全て一点物の貴重な物ばかり。値段はオーナーであるオレの気まぐれで決まる。
この店は本業では無い。趣味と実益を兼ねた副業なのだ。
本業はといえば……
「こんにちは、真琴居ますか?」
ショーゴの所の始くんがやって来た。最近シュンの仕事で知り合ったのだけど、バイト先が探偵事務所だと聞いてびっくりした。
偶然とは言え、つくづくショーゴとは縁があるなと。
真琴とは気が合ったみたいで、たまにやって来ては真琴に勉強を教えているみたいだ。
真琴はオレが教えてくれないからだと言うけど、同年代の友達が居るのは良いことだと思うから。
「いらっしゃい始くん。真琴、休んで良いよ。どうせ暇だし」
真琴は嬉しそうに頷き、始くんと二階に上がって行った。
今夜の仕事のことを考えると自然に笑みが溢れる。
「一度やってみたかったんだよね〜予告してからの盗み」
声に出して言って微かに笑う。何時も空振りばかりだったけれど今回は違う様な気がする。
《吉良一番星》そうであって欲しい。アイツの……命。
受話器を上げてボタンを押し、呼び出しが二回鳴ったところで声が聴こえた。懐かしい、けど苦い思い出と共にヤツの顔が浮かぶ。
『あ、ショーゴ? 今ね、始くんが来てるんだ。少し借りるよ。うん、ありがと……』
ソッと受話器を置き、手近に置いてあった雑誌を捲るが内容が頭に入らない。
立ち上がり店の品を点検しようと思った時、声が掛けられた。
「あの、コレ幾らでしょうか?」
見ると高校生ぐらいの女の子が日記帳を持っている。『値段を付け忘れたかな?』
「アナタここ初めてだよね?」
彼女はコックリと頷き、「そうです」と言った。
オレはニッコリと笑い五百円で良いと言った。彼女は勝手に値段を決めて良いのかと聞いてきた。オーナーだと言ったら驚いた顔をしてたが、格安で日記帳を手に入れて嬉しそうに帰っていく。
実はこの店の品物は全てオレが盗みで手に入れたもの、『盗品』なのである。
そんな危ない品を店で扱って良いのかと何処からか言われそうだが訳ありの品で登録もされてないから届けなど出ない。
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