お題小説
ウリアゲンジャーA
『今夜辺りヤバそうだ、デートは明日にしろ』
文字を打ち込み送信ボタンを押す。すると、真後ろからタイタニックのテーマ曲が流れてきて、私のカップが置かれた。
「ああ、白石さんありがとう」
そ知らぬ振りで、彼女からコーヒーを受け取る。彼女は入社二年目の二十二歳で素晴らしいプロポーションの持ち主だ。
着信音で誰からメールが来たか判るのか、ウンザリした顔でお盆を持ち、皆に飲み物を配り終えると、自分の席に帰って行った。
程なく彼女から返信があった。
『デートの予定は無い。余計なお世話(`ヘ´)』と書いてあった。
どうやら彼氏と喧嘩中らしい。女の怒りに弱い私は少しションボリしていた。
「おはよう〜ス!」
黒岩君の元気な声が聞こえたかと思うと、ドアをバタンと勢いよく開け巨大な体が入って来た。
「黒岩くん! 何時も言ってるでしょ。入る時は静かにって」
白石さんが、黒岩君を睨みつけ早く座りなさいと言わんばかりに、デスクに向けてお盆を席に向けて付き出した。
「そんな怖い顔しないで下さいよ〜白石さん」
この、お調子者の黒岩は今年入社のやっぱり二十二歳だ。だけど先に入社した白石さんが先輩の為学生時代に柔道をしていた彼は、上下関係の礼は外さない。
彼女の怒に触れて、素直に自分のデスクに窮屈そうに座る。
柔道をやってただけあって、立派な体格に、顔はにこやかで好男子と云うのがピッタリだ。
そして、顔はまだ出てないが緑川を入れた五人は、人知れず、日本――それも、私達の守備範囲のみを守る。
―企業戦士―ウリアゲンジャーのメンバーなのである――
何故に、一番冴えない私がリーダーなのか? それは次の回で明かす事にしょう……
第三回に続く
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