アサシンの夜明け
相棒A
衝撃を受けて押し黙って震えている男に急に興味を失い、おれは相棒に近付き話し掛ける。
「ゼロ……お前と組む事が有るとは思わなかったよ」
ゼロは無邪気な顔をして、
「何で? 」と微笑む。
「取り合えず礼は言っとくよ。煩い奴を追っ払ってくれてアリガト。もう少しでゼンが殺しちゃいそうだったし……」
隣に居るゼンはまだ険しい顔をしている。
「もう、機嫌直してよゼン」
耳元でゼロが何か囁くとゼンは渋々ながら殺気を収めた。
「ボスが何のつもりでおれ達を組ませたか分からないが、よろしくなゼロ。」
「さあ……また相棒を殺さない様に監視するつもりなんじゃない?ね、ショーゴ 」
いちいち勘に障る奴だ……
でも、腕は確かなのは間違い無いし、性格が正反対なのは仕事には都合が良い――
「ゼロとショーゴ、本日付けでパートナーとなる事を名ずる」
昨日の昼に呼び出しを受けて、副社長から言い渡された。
殺し屋のくせに、会社組織になっている此処は十三階建てのビルの中――表向きは建築会社で、このシティの名前も会社から取られた。
≪アース≫――悪趣味な名だ――
ゼロ――レイジは、詰まらなそうに「ふ〜ん」と言ったまま黙り込んだ。
「何故です? 今までおれ達が組んだ事なんて――」
副社長は、まるで蝿を追い払うかの様に手を振り、出て行けと言った。
「社長命令だ、私にも分からん。それに――お前達には、あまり関わるなと言われてる」
誘惑されて殺されては、叶わないからな――
人を見下した様な目で見てる、副社長に殺意が沸き上がる。
「所詮お前たちは、社長に媚売って出世したんだし、その綺麗な顔と体が無きゃ、使い途がない」
黙って聴いていたレイジがその時、デスクに腰掛け副社長のタイを引っ張り耳元で囁く。
「そんなオレ達を抱いて、気持ちヨガッタのは誰だよ。なあ、副社長――ヤリたくないの? 」
うるんだ瞳で誘うレイジをおれは止めると副社長は、何処か残念そうな顔で出て行け! と叫ぶ。
やれやれ、前途多難だ――
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