アサシンの夜明け
相棒@
「……ショ―ゴ……」
新しく組むことになった相棒がおれの名を呼ぶ。
全く、先が思いやられる……
何もこんな所でイチャつかなくたって――
「ゼロ、問題を起こすなよ。それに――あんた、誰に喧嘩を売ってるか分かってるのか? 」
大男は突然現れて、偉そうな口を訊く若い男を見やる。
『何だ……まだガキじゃねえか。それに――コイツもまた美形だ』
秀でた額を出し漆黒の髪は首の辺りで綺麗に切り揃えてあり、見つめている瞳は意思の強さが窺える。
レイジの妖艶な美しさとは違って征服したい欲望を起こさせる。
「じゃあ、お前が相手してくれるのか? 俺はどっちでも良いぜ」
「生憎、おれは男と寝る趣味は無いんでね。在っても、あんたなんかお断りだ――」
言われた男は顔を真っ赤にして怒りだす。
「テメエ……よくも言いやがったな! こっちに面かせ! 」
泣いて謝るかと思いきや、しごく冷静にコッチって何処だよ、と言いながら後を付いて来る。
食堂の出口には見物人が鈴なりになっていて、少し得意げに通る時、相棒が飛び出して来て土下座して謝りだす。
「すみません! コイツまだ新入りで貴方がたTKの事を解って無いんです。どうかお赦し下さい!――」
「TKだって――? 」
≪TK≫――トップ・キラー。
小耳に挟んだ事がある――
生え抜きのエリート集団、実戦組と能力組からなっていて、各一名づつ組んで二人で仕事(殺し)をこなす――狙った獲物は逃がした事が無いと聞いた。
『そんな奴らが……こんな子供なのか? 』
「馬鹿やろう! お前も謝れ!」
相棒の顔は蒼白になっていて、嘘だとは思えない。
一緒に土下座して謝る。せっかく掴んだ仕事だ――こんな事でクビになってたまるか!
「そうだね――でも、クビになるよりも先にあんたの首が危なかったよ。だって――」
見てご覧よ――シヨーゴの視線の先には、ゼンが殺気を放っていた。
「外出する時はせいぜい気を付けるんだね――」
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