アサシンの夜明け
レイジB
「レイ……そんな悲しい顔するな……遅くなっても良いから俺の部屋にこいよ」
「べつに――昔の事を思い出していただけさ」
もう、忘れた筈だったのに……オレ、まだ気にしてたのか?
急に、ゼンがオレの後ろを見て眉間に皺を寄せ立ち上がった。
「ゼロに何か用があるのか? さっきからジロジロ見やがって」
問われた男はデカイ奴で新入りの傭兵上がりの奴らしい。
一緒に居る男は必死で止めていたが、ゼンよりも20p位高くて、明らかに年下に見えるオレらは弱い奴らだと決めた様だ。
「なあ、止めとけって――お前が勝てる相手じゃない」
「何言ってるんだ? コイツらの何処が強く見えるって? 」
その言葉に食堂に居た連中は凍り付いた様に静かになった。
馬鹿な男はその事に気付かずに一緒に居た相棒が逃げて行ったのも分からぬまま――
「なあ、そこの綺麗な兄ちゃん。ソイツより俺にしないか? 」
満足させてあげるぜ――
下卑た笑いを張り付けオレに近寄って来る。
オレは、殺気を漂わせているゼンの首に絡み付いてキスをする。
「ねえ、お兄さん残念だったね。生憎間に合ってるから。 ね、ゼン……もう、一回やろ…… 」
ゼンはせっぱ詰まった顔でオレを見て言う。
「レイ……誘うなよ……」
熱い目で見つめられて、本当に欲しくなる……
周りが固唾を呑んで見守る中、不意に声を掛けられた。
「公共の場で何してるんだ? 」
振り返るとそこにヤツが居た――
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