アサシンの夜明け 夢G ―ゼン― レイが連れ去られた時――窓から飛び降りた次の瞬間、姿が欠き消えていた。 『テレポート……? 』 では、レイはルイに連れ去られたのか? でも――アレはあの姿はルイではない…… 身長は俺より高かったし身に纏った空気が違う。何よりルイが何故レイを?…… 考えていたら、ある事に思い至り身体中に戦慄が走った―― 『俺の……せいか? 俺が、レイを奪ってしまったから……』 それほどに……身体を変えてまでも……レイを欲していたとは。 でも……それでも、レイを渡す訳にはいかない。 俺にとってのすべて……居ない世界などなんの未練もない。 居場所の見当は付いた……俺は握り締めた刀を腰に差し、立ち上がって部屋から出た。 決着を付けに行くために―― ***** 「ルイ君、それ以上したら君の愛してる人は死んでしまうよ」 朦朧とした意識の中で、声を掛けられた事だけは覚えている。 上に乗ってるルイの動きが止まった途端オレは気絶した…… どのぐらいの時が過ぎたのか……目覚めた時、側にはルイがオレの髪をいとおしげに撫でていた。 「ルイ……一緒に死のう」 長時間あえいでいたおかげで、声が喉に張り付き、それだけ云うのがやっとで、声に出した途端、涙が溢れた―― 「それはいけません。せっかく実験が成功したと云うのに……」 ゆっくり、声のした方に首を回すと白衣を着た白髪混じりのジイサンがにこにこして立っていた。 「アンタが! ルイをこんな姿に……したのか? 」 「そうですよ。この子がどうしても貴方を抱きたいと云うので」 マッドサイエンストは如何にも楽しそうに話す。 「見てしまったらしいですね、貴方が他の男と愛し合っている所を……貴方の……その美しい躯を抱きたいと思っても何の不思議も無いでしょう? 」 「ずっと……見てたのか? アンタは……アンタこそ人間じゃない! ルイを元に戻せよ!……もとに……かえせ……オレの……」 今すぐコイツを殺してやりたい! 初めて自分の怒りで殺したいと思った…… 「ええ楽しく見させて頂きましたよ。私だって男ですからね、ああ、元には戻せないです。それはルイ君だって知っている筈です」 「そうか? それなら……死ね」 声が……ゼンの声が聴こえた様な気がした。 [前頁][次頁] [戻る] |