アサシンの夜明け
夢D
――次の日――
オレ達とゼン達は共に任務に赴く事に。電車の中で気まずい空気が漂よう中……一人元気なのはルイだ。
「レイジ〜任務が終わったら遊園地に行くんだよね! 」
今度の任務はかなり上級者でも手こずるらしく、成功したご褒美が一日好きな事をして良いと言うもので・・・
今からルイは遊園地か動物園かで悩んでいた。
「オレは何処でも良いよ。ルイの好きな様に……」
ルイの明るさには何時も救われる。これから人を殺しに行かなければいけない時は特に……
「お二人さん、そろそろ現場に着きそうよ。本当に仲が良くてうらやましいわ」
ゼンの相棒のクリスがにこにこして声を掛けてきた。
「アリガト。クリスは仲良くしてないの? ……ゼンと」
そんなつもりじゃなかったけど探っているみたいに聞こえて、オレは焦って横を向いてしまった。
「ゼン? 駄目よ、アイツは誘ったって全然乗って来ないんだから……もう、詰まらない男よ」
「誰が、詰まらないだって? 」
そう言いながらゼンはクリスの体に腕を回した。オレは見てる事が出来なくて、我慢しなければいけないのに……
「……降りる支度をしないと」
言いながら走って隣の車両へ行ってしまった。
『荷物も持たず隣に行くなんて……不自然じゃないか』
泣きたくなるのを堪え横を向いて居たら隣に誰か座った。
「……ルイ? ゴメン……また泣いちゃった……駄目だねオレって……」
「駄目なんかじゃないよ……レイは駄目なんかじゃ……」
ゼン? 声の主を見つめる……
流れる涙も隠しもせずに……
「何で泣く? 俺の事は何とも思って無いんだろ? それなのに……レイ、泣くなよ……」
最早泣くのを我慢など出来ずにただ、ただ、溢れる涙越しにゼンを見つめて唇を開く……
「……ゼン……好き……あいしてる……」
そっと抱き寄せてゼンも言ってくれた……
『俺もレイが好きだ……あいしてるよ……ずっと……』
哀しい鳥は未だ知らない……
辛い別れが待っている事を……
束の間の幸せな夢を……
夢見て……いる……
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