アサシンの夜明け
夢C
「レイジ、ルイ、ただ今参りました! 」
ミーティングルームに入り、教官に敬礼をする。
殺し屋なのに教官だの、敬礼だとか、おかしいと思うだろうが、この会社は結局、政府お抱えの便利屋みたいな物だと教えられた。
表向きは会社の会議室だが、裏では、この広い部屋でオレたちアサシンは司令を受けターゲットを殺す相談をする。
四十がらみの頭が淋しくなった教官が電話中らしく、身振りで座る様に指示した時、ドアが開き二人連れが入って来た。
「クリス、ゼン、ただ今、参りました! 」
ゼンと聞いて、振り向いたオレとアイツの視線が絡む……
先に目を反らしたのはオレ。
電話を切った教官に司令を受けたけど、オレの耳には入って来なかった。
*****
「よろしくなレイ」
差し出された手をそっと、握り返して、にこやかに微笑んだ筈なのに、実際は引きつった顔で……
「よろしく……」
か細い声しか出ない自分を呪いたくなる。泣かない様に我慢するだけで精一杯だ……
「レイジを泣かす、アンタなんか嫌いだ! 」
ルイから激しい憎悪を感じて、オレは思わず叫んだ!
「違う! 違うんだルイ! オレはコイツの事なんか、何とも思っていない! 」
握っていた手がソッと離れ、ゼンは、蒼白な顔でオレを見ている。
哀しい鳥は……夢をみる。
けっして叶わない……
夢なのに……………
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