アサシンの夜明け
夢A
ゼンはオレと同じ実戦チームに配属されたらしい。情報通のモネが言って来た。
「アイツってば、かなりの使い手なんだってさ」
何でも、能力者でもないのに、一般人で此処に入れる人は滅多に居ないと云う。
『何故、此処に来たの? アンタだけは純粋なままでいて欲しかったのに……』
「まあ、僕達とは組む事は無いと思うけどね―」
オレ達、実習生は決まったペアが無く、不定期に交換して任務を遂行していく。
今、オレの相棒はルイだ。結構巧くやっていて周りの評価も高いからこのまま、TKでも通用するとの声を聞きルイは喜んでいる。
「レイジと一緒に居られて嬉しいなあ〜〜」
何時でもピッタリくっついて離れない、ルイでも寝に帰る場所だけは分けられてる。
能力者だけは特殊なシールドの中の部屋なのだ。
逃げだしたり、危害を与えない為に――
オレはルイが可愛くてならない。同じ歳でも見た目はどうみても八歳ぐらいの子供。
成長の遅いルイは早く大きくなってオレをお嫁さんにすると、何時も言っている。
意味が判って言っているのか……
今日は練習も任務も無い完全に休みの日。
オレと一緒にいる時だけ外出が許されているルイは、はしゃぎまくりだ。
「ねえ、レイジ。今日はどこに遊びに行く? 」
朝から、その事ばかり云うルイに苦笑いしながら、公園に行く事にした。
公園へお弁当を持って(作ったのはルイだ)二人で手を繋いで歩いて行く……視線を感じ、振り向くとゼンがオレを見ている。
途端に心臓が早くなり、息苦しくなる。
『ねえ、オレを見ないで……忘れてお願いだから……』
忘れて欲しいのに……
何故、記憶から出ていかないの?
それならばいっそ、オレを……
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