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アサシンの夜明け
懺悔A

 電話ボックス程しか無い狭い空間の中に日々の後悔やら、罪の告白を神に明かし許しを乞う場所。
 男は、鼻を鳴らし歪んだ笑いを顔に張り付けて予告なくドアを開けた。

 中で両手を組み神父に告白していた男の襟首を掴み引きずりだす――

「乱暴はしないで下さい……」

 神父が慌てて云うが、男は何食わぬ顔をして言った。

「懺悔したいんだ……」

 その言葉を聞いた神父は、ふっと微笑み、手を差し出し懺悔する様に言った。

「レイジ、私に懺悔するのではなく神に懺悔するのです……」

「オレは神にではなくアンタに懺悔したいんだ。今日、また人を殺して来た……この、両手は血塗られていて……どんな事をしても綺麗になら無い」

 レイジの美しい顔が苦しそうに歪められ、瞳には涙が後からあとから溢れ落ちてゆく。

 聞いている神父も未だ青年と云える年で……でも、神に一生を捧げた故か、穏やかで落ち着いて話を聞いている。

「なぁ、オレは天国じゃなく地獄に堕ちるんだろ?」

 まるで、それを望んでいるかの様に神父には聴こえた。

「神は、神は……レイジ……」

 神父は、レイジの耳元で密かに……耳をすましていなければ聴こえない位の微かな声でこう言った


「君は、レイジ……地獄に堕ちるよ。その罪の重さ故に……」

(そして、その美貌故に……)




 レイジの苦悩に歪んだ顔が救われた様に晴れやかな表情になり、微笑みすら浮かべ。
 神父に伝える――



『ありがとう……』と。



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