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アサシンの夜明け
籠の中の哀しい鳥A

「なあ、とうちゃん……」

 男の子は父親に話し掛けた。

 船が無事に帰港した事を村中でお祝いしてる席に、父親と男の子も来ていた。

 男の子はあの、綺麗な子供を探していたが、村中の人が集まっていると云うのに、あの子だけが居ない。

「ん? 何だ、坊主。眠くなったか? 」

 お祝いの席で何時もより、上機嫌の父親が聞いてきた。

「ううん、ちがうんだ。あのね、ひるまの、あの子はドコにいるの? 」

 男の子が、そう言った途端、父親の顔が険しくなり、もう、家に帰れと言われた。

「なんでだよ、とうちゃん。おいら、あの子にあいたいんだよ」

 何だか、悲しくなった男の子は父親に食い下がる。
 男の子が、父親に逆らったのは初めてで、父親も無下には出来ないと思ったのか、話してくれた。

「坊主、あの子はな大切な預かり者だから、滅多に近寄っちゃならないんだ。分かったか? 」

『いくら、とうちゃんのたのみでも、きけないよ。だって……』

 男の子は一目だけでも、あの綺麗な子供に会いたいのを我慢などしたく無かったから。

 その時、向かいの席で飲んで居た村長が、父親に言った。

「まあ、ゼフト。一度ぐらいは、会わせても良いじゃないか」

 後で知った事だけど、あの綺麗な子供は、ずっと何も食べずにいて、餓死寸前だったらしい。

 でも、その時の男の子はあの子に会えると言われて嬉しい気持ちでいっぱいだった。




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