アサシンの夜明け
籠の中の哀しい鳥@
生きて、生きて、必ず生き延びて、アイツに――
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――九年前――
見張り台の上で軽いランチを取っていた男は、一隻の船が近付いて来たのを確認すると、皆に知らせるために、鐘を鳴らした。
「とうちゃん、ふねがきたのかい? 」
まだ九つぐらいの男の子が、くりっとした瞳を輝かせ、父親に聞いた。
父親は気かん坊だけれど、可愛くてならない我が子の頭をクシャリと掻き回して笑う。
「ああ、そうだ。今日はご馳走だぞ! 」
「やった――!! 」
男の子は本当はご馳走よりも、みやげ噺の方を、楽しみにしてたのだが、父親が喜んで居るのだから、それでもいいや、とはしゃいだ。
「なあ、とうちゃん……ふねを、みにいってもいいかい? 」
船が出港する時は男の子を連れて見に行くのに、何故か帰港する時には決して見せてはくれない父親におずおずと話してみる。
案の定、駄目だと言う父親に口を尖らせ、ふて腐れる。
「ちゃんとここで待ってろよ、坊主。土産を持って来るからな」
そう云うと、父親は船に向かい歩いて行った。
「ふ〜んだ。とうちゃんのケチ!こうゆう、ときのために――」
この前の漁のお土産の双眼鏡を取りだし、浜辺に標準を合わす。
「うあ〜よくみえるな、コレ」
見張り台から浜辺まで、そう距離は無いが、確かにこの方が良く見えた。
「……??なんだ? あれ……」
船から荷物と一緒に小さな子供が大人のひとに支えられ降りてきた。
双眼鏡は子供のおもちゃにしては、性能が良いやつだったので、もっと、良く見ようとツマミを回すと、顔色まで分かるようになった。
「あ、とうちゃんだ。にもつがイッパイだなぁ。ちがうちがう、さっきの、こどもは……」
子供に双眼鏡を向けた、男の子は、そのまま目が離せなくなった――
生まれてから初めて、こんな綺麗な子供を見た事が、なかったからだ。
この時、男の子は自分の人生にこの小さな子供が深く関わるとは思ってもみなかった――
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