僕の瞳に映るあなた
6
涼は何も言わず、俯いていた。
でも長い髪の隙間から覗く耳朶まで真っ赤になった事が、何より雄弁に物語っているように僕には思えた。
(涼、なぜ? 僕が誰よりも涼を愛してるのに)
「分かった涼、余り遅くならないでね」
嫌なのに、涼に嫌われたくないから無理して笑って言う。
涼は、ホッとした顔をして食事の続きを始める。
僕達はいつも一緒だった。
学校へ行く時も帰る時も。
部活はふたりとも、所属していない。
家の事情で毎日稽古があるから。
なのに初めてだ、涼がひとりで帰る?
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