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僕の瞳に映るあなた


 涼は何も言わず、俯いていた。

 でも長い髪の隙間から覗く耳朶まで真っ赤になった事が、何より雄弁に物語っているように僕には思えた。

(涼、なぜ? 僕が誰よりも涼を愛してるのに)

「分かった涼、余り遅くならないでね」

 嫌なのに、涼に嫌われたくないから無理して笑って言う。

 涼は、ホッとした顔をして食事の続きを始める。

 僕達はいつも一緒だった。
 学校へ行く時も帰る時も。
 部活はふたりとも、所属していない。
 家の事情で毎日稽古があるから。


 なのに初めてだ、涼がひとりで帰る?


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