僕の瞳に映るあなた
5
美月の家では、朝食は皆で一緒には取らない。
だから朝は、僕と涼の二人だけで食事をする。
「涼、おはよう」
ぼくは、いつも涼より起きるのが遅い。
「おはよう竜。早く食べないと遅刻しちゃうわよ。何度、起こしても起きないんだもの」
少し怒った涼の顔が、僕は一番好きだ。
僕達は十四歳になっていた。
毎朝僕を起こすのは、涼の仕事、子供の頃からの習慣だ。
目が覚めて最初に涼の綺麗な顔を見ないと、僕は機嫌が悪い。
今日だって起きていたけど、涼の顔を見ていたいから寝たふりしていた。
「ねぇ竜、悪いけど今日は1人で帰ってくれないかな?」
「何で? 何か用事があるの?」
僕が聞いたら、涼は少し顔を赤らめ「うん……ちょっとね」と言葉を濁した。
何で顔を赤くするんだ? まさか――!
「涼、誰か好きな人でも出来た?」
さりげなく無関心を装い聞いてみると、涼の頬は見る見るうちに真っ赤になっていった。
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