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僕の瞳に映るあなた


「あの女は、自分の娘に何をして来たんだろうね!」

 祖母は、吐き捨てるようにそう言うと父を見た。

 父は、感心がなさそうに涼の方をボンヤリと見て言った。

「仕方ないじゃないか。祥子が涼を引き取れと煩さく言うから……」

 そう実の父から言われた時――

 その時の涼の顔を、今でも忘れる事が出来ない。


 たった九歳の子供なのに涙を堪え、父を真っ直ぐ見つめ返した瞳――

 今思えば。僕はその時から、半分だけ血の繋がった姉に恋をしたのだ。

 どんな体罰や、言葉の暴力に晒されようとも、毅然と前を向く美しい顔と心に――


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あきゅろす。
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