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僕の瞳に映るあなた


 私は、美月家の厄介もの。

 昔から祖母に、言われ続けて育ってきた。

 産みの母は、私が美月の家に引き取られる時、こう言ったのだ。

「やっと、アンタと離れられると思うと、せいせいする! アンタのせいで、あたしの人生は滅茶苦茶になったんだから!」

 物心ついた時から、母に虐待を受けていた私は、実の父がわたしを引き取りたいと聞いて、心踊らせながら、美月の家に来たんだっけ。

 だけど、この家に来ても待っていたのは辛い現実だった。

 初めて会う父に、私は抱き付いて「お父さん!」と言ったのだけれど。

 父は私を、まるで関心がなさそうに冷たい目で見ただけだった。

 祖母は、一人息子をたぶらかした女の娘なんか引き取るのを嫌がったらしい。殊更、私に辛く当たった。

 その中で、母の違う兄の竜だけが、私を受け入れてくれた。


 この家に来たとき、わたしは、まだ九歳――


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あきゅろす。
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