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僕の瞳に映るあなた


 授業が終わり涼と家に帰る。それが、こんなに嬉しいとは今まで思わなかった。
 手を繋ぎたいのを我慢するのが辛いとは……昔はよく手を繋いでこの道を帰った。

 隣で涼が笑う。胸が締め付けられる。守りたい、この笑顔を。

「ちゃんと稽古頑張ってね」

 涼にそう言われたら頑張るしかない。苦笑して涼の手を握る。

「ちゃんと頑張るから、ご褒美頂戴」

 振りほどこうとした手から、力が抜けて握り返してきた。

 家に帰ると僕は稽古場に、涼はキッチンで何やら作り出した。
 多分、誕生日のケーキだ。別に僕は欲しくはない。涼さえいれば……

 稽古が終わってキッチンに行ったらテーブルの上には豪華な料理とケーキが置いてあった。
 涼の姿を探すが家には居ないみたいだ。

 不意に携帯が鳴り、見ると小夜からのメールだった。文面を見て一気に血の気が下がる。

 そこに書かれていたのは……


『あなたの大切な人が大変よ、竜……私を裏切るあなたが悪いのよ! ざまあみろ! 』


 僕は涼を捜して、捜して……やっと使われて居ない倉庫に涼を見付けた。

でも……遅かったんだ……



そこは……まるで……




地獄絵図のようだった……




 周りには血が飛び散り、涼は裸で頭から真っ赤に染まっている……死体は三人で何れも、普通だったら有り得ない方向に捩れて。




「涼! 僕だよ! 竜だ! 」




 涼の瞳には、なにも映ってはいなかった……僕さえも……



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あきゅろす。
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