僕の瞳に映るあなた
7
「小夜……ゴメン……」
信じられない! 竜が別れようって? やっと手に入れたのに。中々なびかなかった竜を。許さない! 私を馬鹿にして…… あの女のせいだ。どす黒い怒りが沸き上がる。
『許さない……あの女に思い知らせてやる! 』
私は、思い付いた。一番アイツらに効く復讐を……
***
「早織〜これはどうかな? 」
二人で竜のプレゼントを選ぶ。ああだ、こうだ言いながら。幸せで胸が一杯だった。
「う〜ん。竜にはやっぱりこっちの方が良いかな? 」
散々迷ってプレゼントは決まった。二人お揃いのストラップ。名前を入れてくれると云うので、明日取りに来ることに。
「明日かあ。楽しみだね! 涼」
明日は誕生日だから、早く帰らなくちゃ。あっ、ケーキ焼くから一度家に帰ってから、取りに行こう……
***
竜の誕生日の朝。いつもの様に竜を起こしに行く。寝た振りした竜をキスして起こし、二人だけの朝食を取る。
「竜、早く食べなきゃ、また遅れるよ」
片手で食べながら、もうひとつの手は私と繋がっている。竜が一時でも離れたくないと云うから。
家から、一歩でも出たら私達は姉弟で……だから、余計にそう思うのだろう。
「涼、今日は……」
「あっ、竜は稽古しないと駄目だからね! 私は忙しいの! 」
笑って言ったら、竜も笑い返して握ってる手に力を入れた。
「いたっ、竜〜やったわね? 」
お返しにキスを……竜は切なそうに言った。
「涼……反則だよ。ずるい」
幸せは泡のよう……
膨らんで……
いつかは……なくなって
しまうもの……
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