僕の瞳に映るあなた
1
あれから、竜は私と一緒に居る事がなくなった。
いつだって離れたことなんか無かったのに――
「涼! 涼! 大変よ!」
早織が慌てた様子で走って来た。
私はそんな早織を見たことがなかったので何が起きたかと、心配になった。
「早織、どうしたの? 何があったの?」
目一杯走って来たのだろう。
しばらく何も喋れなくて苦しそうに息をしてから一気に言った。
「竜……くんに、彼女が出来た! 今、聞いちゃった。告白OKしてたよ!」
「涼? どうしたの?……」
泣いちゃ駄目、私が選んだ選択でしょ? 良かったのよ竜にとっても私にとっても。
でも、何でこんなに胸が苦しいの?
「良かったあ。竜ったら、ちっとも女の子に興味が無さそうだったから、少し心配してたのよ」
明るく言うはずだったのに。
実際くちにした言葉は震えていて――
早織が私の頭をクシャっと撫でた。
見ると早織が涙を溜めていて私に言った。
「涼……わたし達、親友だよね? 良いんだよ、わたしには強がんなくても。竜くんの事、好きなんでしょ?」
我慢出来ずに私は涙を溢した。
早織と一緒に抱き合って泣いた――
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