僕の瞳に映るあなた
16
「涼……愛してる……」
僕が涼を抱きしめて言った。
涼はビクンと体を震わせ、そして……言った。
「竜、駄目よ……私達……」
「姉弟だから? それとも……僕よりも好きな奴がいるの?」
涼はなにも言わないで、肯定するように頭をコクリと下げた。
「どっち?! 分からないよ……言ってよ! 僕を愛してるって」
「りゅう……じゃない。他に好きな人が……」
涼の言葉に僕はなにも言えない。
悲しくて、苦しくて、死んでしまいそう……だ。
「分かった……」
それだけ言うのがやっとだった。
涼! 涼! どれだけ愛しても僕を見てくれないんだね? それなら、まだ嫌われた方がいい……
第1部 終
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