僕の瞳に映るあなた
14
「涼……そんなに泣かないで、こっち向いて……」
僕は、声を出すのがやっとだ。
涼が愛しくてたまらない。
涼が顔を上げて、僕を見つめる――涼の瞳の中に僕がいる。
震える両手で、涼の顔を挟み、そっとキスをしたら涼が目を閉じた――
「竜……りゅう……」
唇が離れたあと、涼が僕の名を呼ぶ。
僕も涙が湧き上がってくるのを止められない。
涼は、僕の涙の訳を知っているだろうか。
僕がどれだけ、涼を愛しているかを――
賑やかな声が聞こえて、お昼のチャイムが鳴った。
涼は僕をおいて走って行き、僕はただ、その場から動けないまま立ち尽くすだけ――
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