僕の瞳に映るあなた
13
竜は何も言わないで私を見てた。
でも私に向けられたその顔は怒りに震えている。
「竜、何で怒ってるの? 何かあった?」
そう言った途端、涙が溢れて来るのを私は止められなかった。
私どうしちゃったんだろ。
こんな泣き虫じゃなかったのに今日は泣いてばかり。
その時ふわっと優しく抱いて、竜がゴメンて言ってくれた。
私は子供の頃の様に、声を張り上げ泣いた。
竜にしがみついて。そして、気が付いて居たけど、知らんぷりしていた自分の感情に……
『私は、りゅうが……好き……』
半分、血が繋がった私の弟。
ずっと一緒だった――でも、この感情は血の繋がりとは違う気持ち。
「涼……そんなに泣かないで、こっち向いて……」
竜がかすれた声で、心配そうに言ったから私は顔を上げた。
竜の瞳の中に私が映る。
涙を流した私の顔が……
竜は私の顔を両手で挟み、上に向かせると優しくキスをした。
このまま……ずっと……このままでいられたら……
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