僕の瞳に映るあなた
11
私は何故か涙が止まらず、追われている訳でもないのに、走っていた。
前が良く見えないまま走っていたら、何かにドンとぶっかった。
「あっ。ご免なさい……」
「大丈夫だよ。でも危ないから気をつけて……どうしたの? どこか怪我でもした?」
ぶっかったのは3年生で生徒会長の悠木先輩だった。
優しくて頼りになる、お兄さんの様な人。
「いえ、何でもないんです。すいませんでした」
ぺこりと、頭を下げてそのまま教室へ行こうとしたら、先輩が私を呼んだ。
「君、美月さんだよね? とても大丈夫には見えないけど。俺でよければ話してくれないか?」
なにか、先輩は私がイジメにでもあってると思ったらしい。
「本当に何でもないんです。先輩、ありがとう」
私がにっこり笑ったら、先輩も安心したように笑って、じゃあねって言って教室へ入って行った。
大変! 早く給食食べなくっちゃ時間がない。
慌てて教室へと戻ろうとしたら、急に肩を押さえられた。
振り返ると竜がそこにいた。
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